Columnコラム

オールセラミックとジルコニアの違いとは?選ぶ目安や注意点など紹介

2025年6月23日

虫歯治療の後や銀歯を白い歯に替えたい場合に候補に挙がる『オールセラミック』と『ジルコニア』。歯科医師にすすめられはするけれど、違いが分からず迷う人も多いでしょう。

この記事では、オールセラミックとジルコニアの違いを、見た目や強度・費用など、多角的に紹介します。どちらにもそれぞれの美しさや良さがあり、向いている使い方があるため、検討の際の参考にしてください。

オールセラミックとジルコニア

オールセラミックとジルコニア

オールセラミックとジルコニアは、治療で歯を削ったり目立つ銀歯を取り替えたりする際に使用される素材で、天然歯に近い美しさがあることが大きな特徴です。詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)などに使用し、オールセラミックやジルコニアの他にも、さまざまな素材があります。

  • パラジウム合金(銀歯)
  • 金合金(金歯)
  • コンポジットレジン(プラスチック)
  • ハイブリッドセラミック(セラミックにプラスチックを混ぜたもの)
  • メタルボンド(セラミックと金属)
  • オールセラミック
  • ジルコニア

この中でもオールセラミックとジルコニアは、天然歯のような美しい見た目に仕上げたい場合に選ばれる審美性の高い素材です。どちらもセラミックですが硬さや色などにそれぞれのメリットがあります。

セラミックと他の素材との違い

オールセラミックとジルコニアは、他の素材と比べて以下のような点で優れています。

  • 口の中で化学反応を起こさない
  • 変色、金属などで起こる歯肉の黒ずみなどがない
  • 強度・審美性・耐久性がある

他の素材には経年劣化や化学反応による変化が見られるものもありますが、オールセラミックとジルコニアは長期間の使用に耐え、その間にも美しさを損ないません。

オールセラミックとジルコニア │ 見た目の違い

セラミック 色見本

オールセラミックとジルコニアはどちらもセラミックですが、審美性からいうとオールセラミックの方が天然歯に近い自然な美しさに仕上がります。ここでは、オールセラミックとジルコニアの見た目の違いについて紹介します。

色調の調整

取り扱っている色数はクリニックによって違いはありますが、オールセラミックの方が選べる色の数が多く、より自然な歯の色を選べます。

オールセラミックの色調は5系統あり、それぞれがさらに複数色に分かれています。また、周囲の歯との調和や室内光・自然光、年齢や性別、肌の色との相性など、さまざまな条件を考慮して色を医師とともに選びます。ただ白いのではなく不自然ではない白さが人の歯の美しさには必要です。

透明感

セラミックは光を透過するため、透明感ある自然な歯の色合いを表現することが可能です。

人間の歯の美しさは透明感と切り離せないこと、ジルコニアは発色が良い分透明感が少ないことなどから、審美性ではオールセラミックの方が優れています。しかし最近ではジルコニアも改良が進んでおり、透明感を持つものも登場してきています。

前歯に向いているのはオールセラミック

前歯には、ジルコニアよりも色数が多く天然歯に近い透明感のあるオールセラミックの方が向いているでしょう。

ジルコニアも前歯として問題のない色の表現は可能ですが、オールセラミックに比べるとやや劣ります。しかし近年では、ジルコニアのフレームに審美性に優れたセラミックを被せた「オールセラミックジルコニア」も登場しています。医師と相談して希望に合った素材を選びましょう。

オールセラミックとジルコニア │ 強度の違い

ジルコニアは「人工ダイヤモンド」と呼ばれる非常に硬いセラミックです。

オールセラミックもジルコニアも、寿命はどちらも10年前後と長く使用できる丈夫な素材ですが、噛んだ際の衝撃にどの程度耐えられるかも重要です。ここでは、オールセラミックとジルコニアの強度の違いを紹介します。

硬さの違い

ジルコニアは「人工ダイヤモンド」と呼ばれる非常に硬いセラミックです。

金属元素であるジルコニウムの酸化物『二酸化ジルコニウム』が主成分で、金属に匹敵するほどの硬さを誇ります。耐久性にも優れているため、人工関節やスペースシャトルの外壁、歯科業界では被せ物だけではなくインプラントの歯根構造にも応用されています。

噛み合わせる歯とのバランス

オールセラミックは、硬さがエナメル質に似ているため、噛み合う歯を傷つけにくいことが特徴です。

セラミックの中では一番硬いジルコニアは、噛み合わせる歯とのバランスを考える必要があります。特に噛み合わせが悪い場合、他の天然歯が欠けてしまうケースがあります。しかし適切に調整して仕上げることで、ジルコニアの硬さによる問題を防ぐことが可能です。

奥歯に向いているのはジルコニア

ジルコニアは色数の選択肢がオールセラミックほど広くはありませんが、その強度は強い力がかかる奥歯に適しています。

目に付く歯ではないため多少の色の違いも目立たず済むのも奥歯におすすめの理由です。また、激しいスポーツをしている・歯ぎしりや食いしばりなどの習慣があるなどの場合はオールセラミックを選択すると割れてしまう場合があります。そういった場合には、ジルコニアがおすすめです。

オールセラミックとジルコニア │ 費用の違い

オールセラミックとジルコニアの費用の違いについて紹介します。高額なイメージですが、長期的に考えた場合のメリットがあります。

どちらも自費診療

オールセラミックもジルコニアも共に保険が適用されない自費診療です。

歯の補綴物には保険診療のものもありますが、保険で使用される素材は二次虫歯になる確率が高い・寿命が短いなど、治療後にも費用がかかる可能性があります。例えば銀歯は温度変化による膨張・収縮が繰り返されることと、保険適用で使用できる接着剤の接着力が低いため隙間が生じやすく、二次虫歯や歯周病のリスクが高くなります。

一方、オールセラミックやジルコニアは、熱や吸水による変形がしにくく隙間ができにくいため、二次虫歯や歯周病のリスクを低減でき、ケアを正しく行えばその寿命は約10〜15年以上となることもある素材です。クリニックによって費用設定は異なりますが、大体の目安としては以下です。

オールセラミック(e-max)
  • 詰め物:6万〜8万円
  • 被せ物:8万〜22万円
ジルコニア
  • 詰め物:4万〜7万円
  • 被せ物:10万〜20万円
オールセラミックジルコニア
(ジルコニアにセラミックを被せたもの)
  • 詰め物:7万〜9万円
  • 被せ物:9万〜23万円

オールセラミックジルコニアは、ジルコニアの強度を持ちながらもセラミックの自然な透明感があることが特徴で、前歯にもおすすめの素材です。

小嶋デンタルクリニックでは、審美性の高いオールセラミック(e-max)に加え、オールセラミックジルコニアからお選びいただけます。

見積もりを取るのがおすすめ

オールセラミックやジルコニアのような自費診療(自由診療)の場合はクリニックによって費用設定が違うため、事前に見積もりを取ったうえでの比較検討をおすすめします。自費診療は患者自身の希望に合った治療法を自由に選択できることがメリットです。内容にも費用にも納得したうえで治療を受けられるよう、事前の確認は重要です。

オールセラミックとジルコニア │ 向いている人

オールセラミックとジルコニアの、それぞれに向いている人を紹介します。

審美性を重要視するならオールセラミック

  • 「前歯の治療をしているので、できれば美しい歯にしたい」
  • 「せっかくだから、自前の歯と全く同じ色の歯にしたい」

このように前歯を美しくしたい人・より審美性を重要視する人は、多彩な色数と透明度が表現できるオールセラミックが向いています。

強度や耐久性を重要視するならジルコニア

  • 「奥歯の治療だから強い素材を選びたい」
  • 「歯ぎしり・食いしばりの習慣があるから、負けない歯にしたい」

このように治療後の奥歯を強度の高いものにしたい・なるべく長く使いたいという場合はジルコニアが向いています。

強度も美しさも兼ね備えたオールセラミックジルコニア

  • 「美しさだけでなく耐久性の高い歯にしたい」
  • 「噛み合わせが強いため丈夫な素材を選びたい」

このようなご希望をお持ちの方には、オールセラミックジルコニアがおすすめです。オールセラミックジルコニアは、強度の高いジルコニアフレームにセラミックを被せることで、耐久性と自然な見た目を実現しています。

オールセラミックは透過性が高く、自分の歯の変色、芯棒に金属を使用していると透けて見えてしまうことがありますが、オールセラミックジルコニアの場合はより自然に仕上がります

セラミックを選択した際の注意点

オールセラミックとジルコニアはどちらもセラミック素材のため、共通する注意点があります。最後に、長く大切に使うための注意点を紹介します。

もし取れたら捨てずに保管・速やかに受診

詰め物や被せ物が外れた場合は再装着できる可能性があるため、捨てずに保管して速やかにクリニックを受診しましょう。

軽く歯ブラシをかけて保管し、ケースやジッパー付きの袋に入れて保管します。ティッシュに包んで保管すると間違えて捨ててしまうため厳禁です。セラミックが取れた歯は無防備となり、二次的なトラブルを引き起こす場合があるため、まずは主治医に連絡を取り必要であれば予約するなど、早い対応が必要です。

治療後1日は硬いものを避ける

セラミックの接着にはレジンセメントという専用の接着剤を使用するのが一般的で、光によって固まる性質のものですが、完全に固定するまでは時間がかかります。

セメントの種類によっては完全に固まるまで1日はかかるものもあるため、硬いものは食べないようにし、反対側の歯で食事をするようにしましょう。

セラミックの装着直後は、適切な位置に装着されている場合でも、歯間にキツさや違和感を感じる場合があります。ほとんどは数日で慣れるものですが、気になっても治療部位には触れないようにしましょう。

柔らかい歯ブラシを使用する

セラミックの歯を長持ちさせるには、柔らかめかあるいは普通の硬さの歯ブラシを使用して磨きましょう。硬めの歯ブラシを毎日使用すると目に見えない細かな傷がついて、セラミックの破損の原因になる場合があります。

硬めの歯ブラシはセラミックの歯だけでなく、歯肉も傷つけます。硬さや強さで汚れを落とそうとせず、小刻みに動かす優しいブラッシングで磨きましょう。

ブラッシングは丁寧に

セラミックは汚れが付着しにくい素材ですが、歯と歯肉の境目や歯間などの汚れを丁寧に落とすことが大切です。歯ブラシ以外にも、フロスやタフトブラシも併用すると効率よく効果的に磨けます。

「フロス→歯磨き→タフトブラシ」の順に磨きましょう。

歯ぎしりなどがある場合は対策が必要

歯ぎしりや食いしばりはセラミックの歯でも欠けや割れの原因となるため、ナイトガードがおすすめです。

ナイトガードは就寝中に装着するマウスピースで、歯への負担を軽減できます。ナイトガードは保険適用で製作可能です。歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合は、セラミック治療後に作ってもらいましょう。

定期的なメンテナンスが長持ちの秘訣

セラミック治療後は、定期的にクリニックでメンテナンスを受けることで、セラミックの美しさや機能を長持ちさせることにつながります。

セラミックのメンテナンスでは特殊な機械で汚れを落とし、歯と被せ物の間の異常もチェックします。汚れがつきにくい素材でも、落としきれない汚れを放置するのは虫歯のリスクを高めるため、定期メンテナンスはしっかり行いましょう。

まとめ

保険診療での治療は、費用は抑えられますが素材の経年劣化や見た目の面が気になります。また、被せ物の下で引き起こされる二次虫歯は自覚症状がない場合も多く、発見が遅れがちのため抜歯の可能性と背中合わせです。

治療後の経過を考えたとき、生体親和性が高く変形の少ないセラミックの使用は二次虫歯や変色など治療後のさまざまなリスクを低く抑えます。静岡のセラミック治療歯科・小嶋デンタルクリニックでは、

  • 審美的に優れ割れにくい「オールセラミックe-max」
  • ジルコニアの強度とオールセラミックの自然な美しさをあわせ持つ「オールセラミックジルコニア」

これらでの治療を承っております。

セラミック治療を検討中の方、歯のことでお困りの方は静岡のセラミック治療歯科・小嶋デンタルクリニックにお気軽にご相談ください。Web予約にてカウンセリングを受け付けております。