
Columnコラム
虫歯の詰め物は種類が豊富!メリットやデメリット・選ぶ基準を紹介
2025年7月9日
虫歯治療で歯を削った場合には、削った歯の機能を補うため、インレー(詰め物)かクラウン(被せ物)をします。インレーは、小さな虫歯を削った穴を埋める治療です。この記事では、インレーの種類や、インレーでの治療についての注意点を紹介します。インレーで選ぶ素材によっては治療後の経過や二次虫歯の発生のリスクに違いがあるため、参考にしてください。
インレー(詰め物)の種類
インレーは虫歯を削った場合に詰める補綴物で、虫歯の大きさによって適した素材を選ぶのが一般的です。ごく小さな虫歯にはコンポジットレジンと呼ばれる合成樹脂、もう少し大きいとインレー(中)、もっと大きな虫歯にはアンレー、大部分を削るとアンレーではなくクラウンを被せます。インレーに使われる素材の種類は以下です。
- 自由診療
- セラミック
- ジルコニア
- ゴールド
- ハイブリッドセラミック
- 保険診療
- コンポジットレジン
- 銀歯(パラジウム合金)
以下で、インレーに使われる素材について紹介します。
セラミック
セラミックは歯科の素材の中でも審美性が高いため人気の素材です。ここでは、セラミックについて紹介します。
セラミックの特徴
セラミックは天然の歯に近い陶材で、色の選択肢が多く透明感もあるため、歯科用の補綴物の中でも自然な白い歯を表現できる素材です。着色に強く変色もほぼなく、表面がツルツルしていて汚れや歯垢も付きにくい特徴があります。あまりに強い衝撃や負荷がかかると割れる恐れがあり、歯ぎしりや食いしばりのある人は向いていない場合があります。
セラミックは自由診療
セラミックは自由診療で、クリニックごとに費用設定に違いがあり、保険診療に比べると負担が大きめです。しかしセラミックは熱や吸水によって変形しづらい特徴があり、治療後も隙間ができにくいため、二次虫歯のリスクを低減できます。
二次虫歯は自覚症状に乏しく進行しやすいため、放置すると抜歯に及ぶ危険性もあります。自然な色合いで目立たないうえに虫歯や抜歯の予防にもなるため、虫歯治療後のインレーとしておすすめする素材のひとつです。
セラミックの寿命
セラミックの寿命は約10〜15年と長めです。経年劣化はしにくい素材ですが、使用していくことで徐々に増える小さな傷や摩耗が破損に繋がる可能性はあります。また、歯ぎしりや食いしばりなどに対して対策をしないと割れる可能性があり、詰め直しが必要になる場合もあります。セラミックを長持ちさせるためにも、口腔内のケアをしっかり行いましょう。
ジルコニア
ジルコニアはセラミックの一種ですが人工ダイヤモンドとも呼ばれる素材で、セラミック同様審美性の高い素材です。ジルコニアについて紹介します。
ジルコニアの特徴
ジルコニアは、人工ダイヤモンドとも呼ばれるほど高い強度が特徴の素材です。ジルコニアは奥歯の使用にも耐えますが、その硬さのために噛み合わせる歯を傷つけないよう研磨や調整などが必要で、セラミックに比べ色数が少なく透明度も劣る点がありました。
しかし、小嶋デンタルクリニックで取り扱いのある「オールセラミックジルコニア」は透明感もあるため審美性にも優れています。美しさと強度を兼ね備えたインレーとしてオールセラミックジルコニアは特におすすめです。
ジルコニアは自由診療
ジルコニアでの治療は自由診療となり、保険診療に比べると費用はかかりますが、セラミックと同様の理由で二次虫歯はなりにくく、抜歯のリスクも保険適用の素材より抑えられます。高額療養費などの制度の利用はできませんが、確定申告で医療費控除の対象になるケースもあるため、領収書を保管しておきましょう。
ジルコニアの寿命
ジルコニアの寿命は10〜15年とセラミック同様長期に渡りますが、セラミックよりも損耗に強い素材です。またジルコニアセラミックの場合、小さなヒビや割れを埋めて被害が広がるのを抑えられる体積膨張という特徴があるため、耐久性に優れています。なるべく長持ちさせるために、ケアを怠らずに大切に使用しましょう。
ゴールド
「金歯」と呼ばれるゴールドは金属ながらもアレルギー反応を起こしにくい素材です。ゴールドのインレーについて紹介します。
ゴールドの特徴
ゴールドは金属ですが生体親和性に優れ、二次虫歯になりにくい素材です。本来は柔らかい素材ですが、歯科用の合金のため耐久性は高められており、強度は天然歯に近いため奥歯に適しています。また、熱いものなどが口に入ってきた場合の膨張率も天然歯に近いため、他の歯にかかる負担が少なく済みます。しかし審美性に関しては目立ちやすいため、前歯には向いていません。
ゴールドは自由診療
ゴールドは自由診療でもともと費用が高めですが、価格が時価のため、製作する時期によってかかる費用が高くなる場合があります。しかし二次虫歯になるリスクが他の素材に比べて低く、歯ぎしりがある人も使用可能など、素材の性能としては優秀であるため人気の素材です。
ゴールドの寿命
ゴールドの寿命は約20年と、セラミックに比べて5〜10年ほど長く、腐食性もなく、割れる心配もないなどの理由から、一般的には問題なく長く使用できる素材です。また、装着する際に歯を多く削る必要がなく、薄く延ばしても折れることがない素材のため、歯自体にとっても負担の少ない素材といえます。
ハイブリッドセラミック
ハイブリッドセラミックは、セラミックとプラスチック(レジン)を混ぜ合わせた素材で、ハイブリッドレジンとも呼ばれています。ハイブリッドセラミックについて紹介します。
ハイブリッドセラミックの特徴
一定の審美性の高さがある・金属アレルギーの人でも使用可能・保険適用される場合があるなど、セラミックとプラスチックの長所が特徴として現れている素材です。しかしセラミックより耐久性が低く、レジンが含まれることから長期使用による変色や着色の可能性があります。また、表面に多少汚れやプラークが付きやすいため、ケアには注意が必要です。
ハイブリッドセラミックは保険適用するクリニックも
ハイブリッドセラミックについては一般的には自由診療ですが、一定の条件を満たす定められた部位の場合に保険診療が可能です。以下がハイブリッドセラミックの治療における保険診療のための条件です。
- CAD/CAMを使用して製作する
- 強い歯ぎしりをしていない
- 一定の施設基準をクリアするクリニックでの治療である
- 保険適用になるとして定められた部位である
ある程度の審美性・実用性があり、安価に利用できるインレーです。
ハイブリッドセラミックの寿命
ハイブリッドセラミックの寿命は7〜8年です。硬すぎないものの削れやすく、セラミックに比べると歯垢が付きやすいため二次虫歯のリスクは低くありません。長期的な使用で変色する・歯茎が下がると境目が目立つなどで作り変えが必要となる場合があります。そのため、見た目にこだわる人には向いていないでしょう。
コンポジットレジン
コンポジットレジンは初期虫歯の治療に用いられるインレーで、白いプラスチックでできています。コンポジットレジンについて紹介します。
コンポジットレジンの特徴
虫歯治療の補綴物として使われる機会が多い素材で、インレーだけでなくクラウン・部分入れ歯・総入れ歯など幅広く使われています。歯の色に近い白色で、選ぶとなるとそれほど色数が多くありませんが、銀歯と比較すると目立ちにくい治療が可能です。デメリットとして光沢がない・変色する・歯垢が付きやすいなどがあります。
コンポジットレジンは保険適用
コンポジットレジンは保険適用のため安価であり、使い勝手がいい素材です。しかし水分を吸収するため着色されやすく、経年劣化で隙間ができやすいため二次虫歯のリスクも低くありません。保険適用で治療費の負担が抑えられる分、定期検診をしっかり受けて状態を維持することが大切です。
コンポジットレジンの寿命
コンポジットレジンは寿命が2〜3年と比較的短い素材です。しかし調整や再治療がしやすいため、摩耗や変色が気になってきた場合に部分的な修復も可能です。柔軟に対応できる特徴を活かし、セルフケアをしっかり行うことで、短めの寿命を伸ばすことも期待できるでしょう。
パラジウム合金(銀歯)
銀歯はパラジウム合金という素材で、金属アレルギーの人は使えませんが虫歯治療では一般的に使われています。パラジウム合金について紹介します。
パラジウム合金の特徴
銀の詰め物はメタルインレーとも呼ばれ、人目が届きにくい奥歯だとしても審美性に欠けているとして好まない人も少なくありません。使用しているうちに金属イオンが溶けだして、歯茎や歯に色素沈着となって黒ずむ『メタルタトゥー』という症状が見られることがあります。
病気ではありませんが著しく審美性を欠くことになります。しかし強度は十分あり、虫歯の大きさにも制限がなく利用でき、硬いものを食べて欠けたり擦り切れたりするようなことはほとんどありません。
パラジウム合金は保険適用
パラジウム合金での治療は健康保険適用で、審美性より実用性を重視したい人などに向いている、比較的安価に利用できる素材です。素材の強度はありますが歯になじみづらく、隙間ができやすいために二次虫歯のリスクが高い傾向にあります。保険診療と自由診療では、二次虫歯の可能性にも素材の違いが現れることを知っておく必要があります。
パラジウム合金の寿命
銀歯の寿命は5〜7年程度で、同じ保険診療のコンポジットレジンに比べると摩耗は少なく済みますが、温度変化によって伸縮するため耐久性への影響があると考えられます。隙間ができやすいため、劣化の状況次第では詰め直しが必要です。経年劣化によってできた隙間に歯垢が溜まると虫歯が再発する可能性があるため、セルフメンテナンスを徹底して定期検診にも通い、二次虫歯を防ぐことが大切です。
インレーの注意点
インレーはクラウンと比べると残っている歯が多いため、その歯をいかにケアして残せるかも重要です。最後に、インレーの注意点を紹介します。
素材によって寿命が違う
どの素材を選んでも大切に使うことは大切ですが、選んだ素材によって寿命に違いがあるため、治療の際に確認し把握しておきましょう。特に自由診療と保険診療で選べる素材には差があり、自由診療の素材の方が寿命が長い傾向にあります。
保険適用の治療は再治療率が高い
保険診療の素材は自由診療のセラミックやジルコニア・ゴールドなどと比べると再治療率が高いため、追加の費用がかかる可能性があります。
例えば、銀歯は保険適用で安価に治療できますが、二次虫歯や金属アレルギーなどのリスクがあり、寿命も長くはありません。劣化して数年後に再治療が必要になった場合、新たに費用がかかるだけでなく、再度歯を削ることになって歯の寿命も縮まってしまいます。費用だけでなく、歯の寿命や将来のことも考えて素材を選ぶことが大切です。
外れたら早めに持参して受診
もしインレーが外れた場合、自分で付け直したり放置したりせず、外れたインレーを持参し、なるべく早く治療を受けたクリニックを受診しましょう。インレーが外れると弱った歯質がむき出しになるため、その状態を放置すると虫歯の再発や噛み合わせの変化などを招きます。外れたインレーを持参すれば、再利用したり調整したりすることで治療時間が短く済む場合があります。患部を清潔に保ち、痛みがなくても早急に受診しましょう。
まとめ
虫歯治療後の補綴物に何を選択するかは、その後の経過に影響を及ぼします。自身の状況に合ったものを自由に選択できる自由診療には優れた素材が多くあります。見た目の美しさだけでなく、歯の健康を考えた場合でも、セラミックやジルコニアはおすすめの素材です。
静岡のセラミック治療歯科・小嶋デンタルクリニックでは、セラミックやジルコニアなど生体親和性の高い素材で、美しいだけでなく健康的な歯を実現します。より長く自身の歯を守るためにも、虫歯治療にはセラミックをおすすめします。ご検討の際は小嶋デンタルクリニックにぜひご相談ください。
