Columnコラム

セラミックは老後まで使える?種類別の寿命や長持ちのポイントを紹介

2025年7月2日

詰め物や被せ物をする際の補綴物には、銀歯やプラスチックの他に、丈夫で美しい仕上がりのセラミックを選ぶことができますが、老後までもつのか心配する人も少なくないでしょう。

この記事では、さまざまなセラミックの寿命や、長く使う上での注意点、長持ちさせるポイントを紹介します。セラミックを長く使うために知っておきたいことをこの記事で確認し、セラミック歯の寿命を延ばしましょう。

そもそも歯の素材の寿命はどのくらい?

虫歯治療をする際に使用される歯の補綴物はさまざまありますが、そもそもそれらの寿命はどのくらいなのでしょうか?以下は大きく分けた歯の素材の、それぞれの寿命です。

  • プラスチック……約5年
  • 銀歯……約5〜7年
  • ブリッジ……約8年
  • セラミック……約10年

歯の補綴物は平均的な寿命はありますが、日々のケアや生活習慣など、使い方によってはこの限りではありません。

セラミックの種類によって寿命に違いがある

セラミックの補綴物には、以下のようなメリットがあります。

  • 保険診療のものと比べて色数が多く自然な色に仕上がる
  • ツルツルしていて汚れが付きにくい
  • 生体親和性が高く二次虫歯や歯周病になりにくい
  • 経年劣化が起こりにくい

セラミックには、以下のようなさまざまな種類があります。

  • オールセラミック
  • ジルコニア
  • メタルボンドセラミック
  • ハイブリッドセラミック
  • ラミネートベニア

これらは同じセラミックでも種類によって寿命に違いがあります。また、セラミック自体は寿命を迎えていなくても、加齢や治療などで噛み合わせが変化すると、作り直しが必要になる場合があります。以下からは各セラミックの寿命と詳しい特徴を紹介します。

オールセラミックの寿命

純度100%、セラミック素材だけを用いたオールセラミックの寿命について紹介します。

オールセラミックとは

オールセラミックは100%セラミックの素材で、色合いや形の自由度が高いという特徴があります。金属が含まれないため金属アレルギーの人も使用が可能で、天然歯に近い透明感があり審美性に優れています。特に美しく見せたい前歯や、審美性を重要視する人などの場合はオールセラミックが向いています。

オールセラミックの寿命は10〜15年

オールセラミックの寿命は10〜15年と長く経年劣化はしにくいですが、寿命年数まで使い続けていると損耗によって破損する可能性はでてきます。オールセラミックは陶器で作られており割れる心配があるため、歯ぎしりや食いしばりの強い力で噛む癖がある場合、対策が必要です。オールセラミックは一般的に他のセラミックより費用設定が高めのため、長い寿命を活かせるよう大切に使用することをおすすめします。

ジルコニアの寿命

ジルコニアは、人工ダイヤモンドと言われているジルコニアを使用しています。ここでは、ジルコニアの寿命について紹介します。

ジルコニアとは

ジルコニアはセラミックの一種で、人工ダイヤモンドとも呼ばれるほど強度と耐久性に優れた素材です。

高い強度を持つため大きな力がかかる奥歯や歯ぎしり・食いしばりがある場合にも使用可能ですが、しかしその硬さゆえに噛み合わせる歯を傷つけないための研磨や調整が難しいという点もあります。また、審美性については従来のジルコニアの場合、光の透明度が低い点があるため自然な色味の表現ができませんでした。

しかし近年では、より審美性に優れたジルコニアも登場しています。小嶋デンタルクリニックで取り扱っている「オールセラミックジルコニア」は、ジルコニアのフレームにセラミックを被せた素材です。審美性と強度の両方が期待できるオールセラミックジルコニアなら奥歯だけでなく前歯にもおすすめです。

ジルコニアの寿命は10〜15年

ジルコニアの寿命はオールセラミックと並んで10〜15年と長く、さらにジルコニアには損耗に強い特徴があります。

セラミックは経年劣化はほとんどしないとはいえ、使用しているうちに小さな傷やすり減り・欠けなどが生じる可能性がないとはいえません。しかしジルコニアには小さなヒビや割れが入った場合に、体積膨張で埋めることにより被害の広がりを抑えるという特徴があるため、耐久性に優れています。大切に使用すれば寿命の15年を全うし、それ以上の使用も期待できるかもしれません。

ハイブリッドセラミックの寿命

ハイブリッドセラミックは、保険適用の素材であるレジンと適用外のセラミックの混合素材ですが、正確にはセラミックとは別物です。ここでは、ハイブリッドセラミックの寿命について紹介します。

ハイブリッドセラミックとは

ハイブリッドセラミックはレジンのみの場合と比較すると柔軟性と割れにくさがある素材で、金属アレルギーの心配もありません。硬すぎないのはメリットですが、レジンの成分を含む分強度や耐久性は劣るため、特に奥歯での使用や歯ぎしりがある人の使用については注意が必要です。

色調についても透明感や色数が限られており、レジンが含まれていることから変色が起こることがあります。ハイブリッドセラミックは一定の条件を満たすことで、保険適用となることがあります。

ハイブリッドセラミックの寿命は7〜8年

ハイブリッドセラミックの寿命はセラミックに比べると約半分の7〜8年です。

柔軟性があり比較的長く持ちますが、その反面削れやすいため、摩耗や噛み合わせの変化によって作り変えが必要となる場合があります。セラミックと比べると、歯垢が付きやすい・二次虫歯のリスクが高いなど、口腔内の状態で寿命が短くなる場合も考えられるため、普段のケアをしっかり行うことが必要です。

メタルボンドセラミックの寿命

メタルボンドセラミックとは、内側は金属・外見はセラミックの被せ物です。メタルボンドセラミックの寿命について紹介します。

メタルボンドとは

メタルボンドは金属のフレームにセラミックを焼き付けることで金属の強度を兼ね備えたセラミックです。高い耐久性がある一方、以下のようなデメリットがあります。

  • 金属部分が見えることがある
  • 金属アレルギーのリスクがある
  • 金属イオンが溶けだして歯茎が黒ずむことがある
  • 金属が透けて見えることがあり審美性はオールセラミックに劣る

メタルボンドは、セラミックが表面だけのため強い力で噛んだ場合に割れたり剥がれたりすることがありますが、フレームが無事であれば修復が可能です。

メタルボンドの寿命は8〜10年

メタルボンドは強度が高くブリッジにも耐えられる素材のため、寿命は8〜10年と長めです。虫歯や歯周病の進行など、口腔内の状態の悪化などで寿命が縮まる可能性はありますが、外側がセラミックで歯垢が付きにくいため、ケアをしっかり行えば寿命を延ばすことも可能です。

ラミネートベニアの寿命

ラミネートベニアはセラミック素材の種類ではなく、歯の表面を削って薄いセラミックを貼り付ける審美性の高い治療法です。ラミネートベニアの寿命について紹介します。

ラミネートベニアとは

ラミネートベニアは歯の機能を回復する治療ではなく審美性を高める治療で、少ない通院回数で短期間で白い歯にできるメリットがあります。セラミックを使用するため変色が起こりにくく、人前に出る機会が多い人・短期間で歯を美しくしたい人に向いています。

ラミネートベニアの寿命は10〜20年

ラミネートベニアは10〜20年が平均的な寿命と考えられていますが、セラミック自体の寿命は長くても接着剤などが劣化する場合があります。接着剤の劣化は約4〜5年が目安ですが、近年は研究・開発が進んでいるため、それ以上の効果が期待されています。

また、表面に貼り付けるという技術のため、歯ぎしり・食いしばりがある人には向いていません。ナイトガード(マウスピース)を使用するなど対策をし、ベニアが剥がれやすい噛み方をしていないかチェックしてもらうなど、長持ちさせる使い方が必要です。

セラミックを長く使う上での注意点

もともと寿命が長めのセラミックですが、より長く使うための注意点を紹介します。

セラミックが欠けたり割れたりしたら受診する

セラミックは、歯ぎしりや噛みしめ・硬い物を噛むことなどで欠けたり割れたりすることがあります。少しでも欠けたり割れたりしてしまった場合、または外れてしまった場合、修理や再装着で対応できるケースもあるため、早急にクリニックを受診しましょう。

金属があると歯茎が黒ずむことがある

セラミック治療で歯の土台に金属が入っていたりすると、金属イオンが溶けだして流出し、歯茎が黒ずむことがあります。オールセラミックに変えるなど、金属を使用しないことで徐々に治っていきますが、レーザー治療で黒ずみを取り除く方法もあります。金属ではなく虫歯が原因の場合もあるため、黒ずみに気付いたらまず受診しましょう。

加齢や虫歯・歯周病による口腔内の変化に注意する

セラミックを使用すると歯の表面がツルツルになるため虫歯のリスクは下がりますが、全く虫歯にならないわけではなく、また歯周病のリスクもゼロにはなりません。

歯並びや噛み合わせの変化、歯茎が下がるなどでセラミックの適合が悪くなると、作り直しになってしまう可能性もあります。口腔内の変化には十分注意し、違和感や気になる点があったら早めに受診しましょう。

セラミックを長持ちさせるポイント

セラミックをなるべく長持ちさせるためのポイントを紹介します。

しっかりセルフケアをする

セラミックは虫歯になりにくい素材とはいえ、セルフケアは天然歯同様、しっかり行うことが基本です。傷を付けない柔らかい歯ブラシはもちろんのこと、ナイトガード(マウスピース)、フロスや歯間ブラシなどで、セラミックの汚れや損耗の予防に努めましょう。

丁寧なセルフケアは残っている天然歯の虫歯・歯周病予防にもつながります。セラミックの寿命を延ばすためには、正しいセルフケアが基本です。

素材を吟味する

セラミックを選択するなら、治療法も素材もしっかりと吟味しましょう。セラミックにはいくつかの種類があり、審美性や強度、使用している素材などが異なります。セラミック治療を受ける際は、技術や経験・知識が豊富なクリニックを選び、患者さんの希望に沿った素材を一緒に検討・選択してもらいましょう。

定期検診を受ける

セラミック治療を受けたら、3ヶ月〜半年に1回は定期検診を受けましょう。

定期検診では、セラミックの割れや欠け・歯周病・歯垢や歯石の除去・噛み合わせの確認や調整などのチェックが受けられます。天然歯の予防歯科検診も合わせて行えば、虫歯や歯周病の早期発見につながります。セラミックを良好な状態にしておくためにも、定期検診は必ず受けましょう。

まとめ

老後になると歯の状態も悪くなっていくため、セラミックを長持ちさせるためにも定期検診を受けて、歯の状態を確認しましょう。静岡のセラミック専門歯科 小嶋デンタルクリニックは、開院以来多くのセラミック治療を行い、駿河区の中でも多くの実績があります。セラミック治療には技術力や経験値を必要とする治療もあるため、信頼できるクリニックでの治療を検討する必要があります。老後まで長持ちするセラミックについて、ご相談だけでも結構です。お問い合わせをお待ちしております。